金融庁は10日、カネボウの粉飾決算事件で所属公認会計士が逮捕、起訴された中央青山監査法人(東京都千代田区、奥山章雄理事長)に対し、不正を防ぐための内部管理体制に重大な不備があったとして、上場企業などに対する「法定監査」業務を7月1日から2か月間停止する処分を命じた。
さらに、役職員の経営責任の明確化と再発防止策などを6月10日までに報告するよう求めた。
監査業務が停止される企業は約2300社で、うち上場企業は約820社に上る。
4大監査法人に対し、業務停止命令が出されるのは初めてだ。
金融庁は併せて、カネボウの粉飾決算事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で逮捕、起訴された会計士2人を登録抹消、逮捕後に起訴猶予処分となった別の会計士1人を5月15日から1年間の業務停止とする懲戒処分も発表した。
処分を受けて、中央青山は、奥山理事長と佐藤元宏理事長代行が引責辞任し、法人名を変更することを明らかにした。
金融庁は処分理由として、所属会計士が行った監査内容のチェックが実質的に審査担当者だけで行われ、法人内の審議会が有効に機能していなかったことなどを挙げた。
カネボウの監査でも、粉飾決算が行われた5年間、監査内容が適切かどうかを一度も審議会に諮ったことがなかった。
業務停止の対象となる法定監査の契約先には、トヨタ自動車や新日本製鉄、ソニーなど日本のトップ企業が含まれる。
ただ、法定監査先約2300社の多くは3月期決算とみられ、業務停止期間前の6月までに監査が終了する見込みだ。
また、4月以降に決算期を迎える法定監査先のうち、業務停止期間中に有価証券報告書や半期報告書の提出する必要がある企業については、監査法人の変更がすぐにはできないことから、金融庁は監査業務の停止命令の対象から除外した。このため、業務停止による契約先企業への影響は最小限に抑えられそうだ。(読売新聞)
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法人名を変更する、となると、この企業に委託する上場企業の通知書類や業界関連情報誌の名称刷新、大変ですね。