かいふう

近未来への展望や、如何に。

昨日までは過去、という教訓。

kaihuuinternet2006-09-04

[飲酒運転]「無自覚と周囲の甘さが生む悲劇」

飲酒運転による重大事故が何度も起きているのに、無自覚なドライバーが多すぎる。

福岡市で一家5人の乗った乗用車に追突し、3人の幼児を死亡させた同市職員は、居酒屋とスナックではしご酒をした後で車を運転していた。いったい何を考えているのかと言いたくなる。

警察庁は今月12日から18日までを飲酒運転取り締まりの強化週間とし、一斉検問などを実施するよう都道府県警察に緊急通達を出した。飲酒運転は公道を凶器が走っているようなものだ。厳しく対処しなければならない。

福岡市の事故は博多湾にかかる橋の上で起きた。家族5人が乗る車は歩道に乗り上げて欄干を突き破り、海に転落した。市職員の車は、よほどスピードを出していたのだろう。ブレーキ痕もなかった。相当に酔っていたのは間違いない。

市職員は業務上過失致死傷容疑などで逮捕されたが、単なる過失では済まされない。警察は最高20年の懲役となる危険運転致死傷罪の適用を検討しているという。当然のことだ。

以前から常習だった可能性もある。2人の友人と一緒だったというが、友人らは運転を制止すべきだった。酒を提供した店側も、車で来店したことを知らなかったのだろうか。

違反がなくならないのは周囲が甘いからでもある。警察庁の緊急通達でも、飲食店や飲酒の同席者、車の同乗者も厳正に捜査をするよう指示している。

危険運転致死傷罪は2001年に刑法に新設された。翌年には道路交通法も改正され、酒気帯び運転とされる基準値が引き下げられた。その結果、飲酒運転による死亡事故は減り続け、昨年は707件で10年前の半分になった。

ところが今年は、逆に昨年の件数を上回るペースで起きている。警察庁も「厳罰化の抑止効果に陰りがみられる」と問題視している。

昨年も、同窓会帰りの男女が泥酔した男の車にひき逃げされ、4人が死亡する事故があった。酒を飲み、居眠り運転をしていた車が高校生の列に突っ込み、3人が死亡する事故も起きている。

飲酒運転の摘発件数となると、昨年は14万件にも上る。長年、「飲んだら乗るな」と叫ばれてきていても、いまだにこの状態である。

福岡市は、飲酒運転をしただけで懲戒免職とするなど、懲罰規定を見直す方針を明らかにしたが、福岡市だけの問題ではない。官庁も民間の事業所も内部処分を厳しくするなど、本腰を入れて飲酒運転の根絶に取り組むべきだ。(2006年9月4日読売新聞・社説)
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福岡市の道路橋の事件は警察が容疑取調べ中なので、どうなるかわからぬが、それが記者会見なりで、然るべき刑罰の適応対象、との発言が無い現在、差し控える。けれど、それは起きてしまった事故。そして事件なのである。もはや、言い方が酷ではあるが、歴史という捉え方からすれば、教訓にしよう、のひとつにしか過ぎない。
故に法律で対処する。
掲載は、福岡地方・高等検察庁