かいふう

近未来への展望や、如何に。

閲覧制限か、知る権利か

山口県周南市徳山工業高等専門学校で女子学生(20)が殺害された事件で、7日に遺体で発見された藤村元紀容疑者(19)の実名と顔写真を掲載した読売新聞について、三重県奈良県大阪府の公立図書館が、閲覧を制限していたことが分かった。

新聞の閲覧制限は異例で、識者らからは「知る権利の制限につながる」「過剰反応だ」などの批判が上がっている。

三重県立図書館(津市)では、読売新聞が実名、顔写真を掲載した8日朝刊から、実名、顔写真の部分にシールを張った。若松徳義館長は「検閲ではなく、公的機関として少年法を破るわけにはいかないと考えた」と説明。この措置を当面続ける方針だったが、12日、県教育委員会と協議の上、正午になって制限を解除した。安田敏春・県教育長は「公立図書館として基本的にメディアを制限するのは好ましくない。協議の結果、不適切な措置だとの結論に達した」としている。

津市の市立11図書館・室では、閲覧コーナーには置かず、「少年法に基づき並べていません。読みたい方はカウンターに申し出てください」との紙を張り、カウンターに申し出た人に限って対応。実名、顔写真はそのままだが、川瀬雅子・津図書館事務長は「少年法の理念に照らして、公立図書館として不特定多数の閲覧には適さないと判断した」としている。13日、改めて対応を検討する。

奈良県香芝市の市民図書館も「少年法の趣旨に反している」と判断。通常、1週間分の新聞は棚に置いて自由に閲覧できるようになっているが、8日朝夕刊、9日朝刊は除かれ、カウンターで取り出してもらわないと見られない。該当記事には紙が張られている。

一方、8日朝夕刊を翌9日になって閲覧させない措置を取った大阪府豊中市の市立9図書館。「少年法の趣旨から引き揚げ、取り扱いを検討している」とのおことわりを張り出し、9日朝刊には実名部分に付せんを張った。

同市の図書館を統括する市立岡町図書館の谷垣笑子館長は12日に会見、「他の館長と電話で協議し、少年法の趣旨を尊重する上で閲覧を制限した。その後、報道各社の見解が分かれていると知り、各館長の会議で図書館側が判断すべきではないとの結論に達したため、10日以降は閲覧できるようにした」と説明した。

大阪府箕面市の市立5図書館も、一時的に閲覧コーナーから引き揚げ、希望者には申請手続きを求めた。

日本図書館協会の松岡要事務局長は、「図書館は言論の自由を守る役割がある。記事の内容は読者が議論すべきことだ。一般的に閲覧制限は検閲につながる。図書館は資料を提供し、国民の知る自由を後押ししなければいけない。記事内容の判断には、極めて慎重でなければいけない」と語る。

鈴木秀美・大阪大大学院教授(憲法)も「容疑者が死亡した今回のケースは、実名報道でいいと思っている。情報を公共的に提供する図書館が報道の閲覧を制限するのは過剰反応で、もう少し慎重に判断すべきだった」と話す。

千葉県の船橋市立図書館の職員が2001年、「新しい歴史教科書をつくる会」関係者らの著書を廃棄処分した例では、最高裁判決が「公立図書館職員が独断的な評価で図書を廃棄するのは、職務上の義務に反する」と判断。差し戻し後の高裁判決で市に賠償が命じられ、確定した。

読売新聞東京本社広報部の話「閲覧制限は、図書館による検閲につながる行為で、公立図書館本来の役割から逸脱していると思います。報道内容がその通りに伝わらなければ、国民の知る権利は阻害されることになり、極めて遺憾です」(2006年9月12日読売新聞)
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新しい歴史教科書をつくる会」関係者らの著書を廃棄処分した例、の件では、その職員は公私混同してるな、とおもいました。
「国民の歴史」は自分も購入しました。《虚構の宗教》から離れるためにもね。同時購入が同社市販版「中学公民」で、その一ページコラムに横田めぐみさんの記事が掲載され、当時日朝会談前でした。

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つくる会」の現在会員諸氏の個人の、憲法で保障される諸々の自由、については関知するところでない。それが単独執筆であろうが共同であろうが、また改訂前のそれか後のそれか、教科書のそれか否か、その本ごとに購入者が価値判断をしてください。
2度の日朝会談後に、その会メンバー構成員が入れ替わって、失望乖離しても、それもその人の信念です。現メンバーには、自分と相容れない方々もいる。教科書採用か否かは、また別問題ですが。現役教師でない自分が、市販本改訂版教科書を購入する義務はないです。あくまで、その時点で被拉致少女の記載の本を、であり、2006年現在のそれがどのような記述で「中学公民」もしくは「中学歴史」に記載されているか、未確認です。
『論争は避けよ』、ある書物に<聖句>としてある以上、その方が地位、役職ありといえども、無用な事は避けたいですね。
どのような会といえども、複数人が集まる仕組みですから、離合集散は覚悟の上でしょう。その判断を助けてくれるのも、またネットなんでしょう。