アスベスト関連工場近くに住みながら、労災が認められない中皮腫や肺がんの患者の救済を目的に施行された「石綿健康被害救済法(アスベスト救済法)」が今月27日で半年を向かえるが、これまでに救済申請中に認定が間に合わず死亡した患者が170人以上にのぼることが、環境再生保全機構(神奈川県川崎市)の調べで分かった。
認定にあたっては原則として国の医学的判定が必要になるが、症状の確定診断の難しさなどから、判定を「保留」と扱われるケースが全体の半数以上を占め、保留中に死亡した患者も多いと見られている。
同法の救済制度は、同機構が申請を受け、国が医学的判定を行う。認定された患者には月額約10万円と自己負担分の医療費が支給される。
同機構には、先月末までに1160人の中皮腫、肺がん患者から救済申請があった。国は522件について医学的判定を行い、このうち271件を「医学的な判定材料が不足している」として「保留」とした。先月末までに死亡は170人に達し、現在も増え続けているが、これら死亡例が判定保留中だったかどうかは「公表しない」(同機構)としている。保留が多い理由は、医療現場で実施した検査に加え、患者から新たに細胞を切り取るなど、より詳しい検査結果を追加で求められるケースが多発しているため。しかし、中皮腫の余命は診断から数年と言われ、病状が悪いために追加の検査ができないケースも多く、保留のまま死亡する患者が続出する原因になっていると見られている。
申請中の場合、患者が亡くなっても遺族が追加の検査結果を出して認められれば認定は受けられるが、実際には、患者の死亡によって認定が困難になることが予想される。中皮腫・アスベスト疾病・患者と家族の会の古川和子副会長は「生きているうちに認定できるよう、認定の迅速化はもちろん、判定の際には個々の病状も考慮してほしい」と制度改正を訴えている。(2006年9月21日読売新聞)
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工場といっても、TVで視たある場所は、個人住宅が立ち並ぶ市街地に立地していたようにみえた。しかし、想像すれば、先ず工場、そして年々周辺に宅地開発で整備されたとみるべきなんでしょうね。