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[『北』核実験表明]「新たな段階に入った『核』の脅威」

国際社会の包囲網による圧力強化の前に、苦し紛れの瀬戸際戦術をさらにエスカレートさせようとしているのだろう。

北朝鮮外務省が、核実験を行うとの声明を発表した。

時期などは明らかにしていない。だが、麻生外相は「こうした声明の後、あまり間を置かず現実になってきた過去の例がある」として、強い警戒感を示している。

北朝鮮が実際に核実験に踏み切れば、これまでの「保有宣言」にとどまらず、核保有が初めて実証される。核兵器開発が新たな段階に入ったことにもなる。

そうなれば、地域の平和と安全に対する極めて深刻な脅威だ。国際社会としても、とうてい看過できない。安倍首相が言うように、国際社会全体が、先のミサイル発射時以上の厳しい対応をとらざるを得まい。

北朝鮮の核実験については、近く行われる可能性があるとの見方があった。金正日総書記自身が、在平壌のロシア、中国の外交官に、地下核実験に踏み切る考えを示したとも伝えられていた。

なぜ、核実験なのか。

最大の狙いは、北朝鮮関係の銀行口座の凍結など、制裁を強める米国の姿勢の変化を促し、米国を直接対話の場に引き出すことにあるのだろう。

国連安全保障理事会は7月、北朝鮮のミサイル発射に対する非難決議を採択し、さらに安保理決議に基づいて、日本と豪州が金融制裁の発動に踏み切っている。一連の制裁が、北朝鮮に大きな打撃になっているという。

北朝鮮の外務省声明によると、実験はしても、核の先制使用や海外への移転もしない、という。昨年9月の6か国協議の際の共同声明で確認した「朝鮮半島の非核化」にも努力する、としている。

だが、核実験を強行すれば、国際社会は、そうした北朝鮮の言葉自体を欺瞞(ぎまん)としか受け取らないだろう。

北朝鮮に強く自制を促し、さらに北朝鮮に核放棄を迫る6か国協議へ復帰させるには、やはり、中国の北朝鮮に対する影響力の行使が欠かせない。

安倍首相は、8日に訪中し、胡錦濤国家主席と会談する。9日には訪韓し、盧武鉉大統領とも会談する。当然、北朝鮮の核実験実施表明の問題が、主要議題の一つになるはずだ。

中韓両国との首脳会談は、首脳会談が途絶えていた両国との関係を立て直す重要な機会だ。首相が言う「主張する外交」の正念場でもある。北朝鮮の核実験阻止へ、具体的な実効ある措置を講じるために全力を挙げてもらいたい。(2006年10月4日読売新聞・社説)