千葉県議会は11日、障害者差別をなくす条例案を全会一致で可決した。
障害者差別解消を目的にした条例制定は全国初。
差別行為を定義し、解決に向けた手続きを盛り込んだ。来年7月に施行される。
国の障害者基本法には差別禁止の理念は盛り込まれているが、差別解消の具体策は示されていない。
千葉県の条例では、差別行為を「障害を理由に解雇したり、退職を強いること」などと具体的に例示。差別の訴えなどがあった場合は、知事が委嘱する「地域相談員」が当事者間の仲裁にあたる手続きを明示した。
それでも解決しなければ、知事への申し立てに基づき、障害者団体関係者や法律の専門家など第三者で構成する「調整委員会」が助言やあっせんを行う。これに対し、「差別をした」側が正当な理由なく従わない場合、知事は勧告することができる。ただし、罰則規定はない。
また、差別を巡って提訴する障害者に対して、県が訴訟費用の貸し付けなどを行うことができるとした。
同県の堂本暁子知事は今年2月、悪質な差別事案の公表規定を盛り込んだ条例案を議会に提出したが、最大会派の自民党が反発。今回、再提出した条例案では公表規定を削除したほか、差別を定義する条文に「合理的な理由なく」との文言を付け加えた。
条例案可決後、会見した堂本知事は「各自治体に条例ができ、国も方針を打ち出すような相乗作用が重要」と、波及効果への期待感を示した。(2006年10月11日読売新聞)