かいふう

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初めての判断基準を最高裁が示す.その2

米国の健康食品会社が米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問に関連し、読売新聞記者が取材源に関する証言を拒絶したことの当否が問われた裁判で、最高裁第3小法廷(上田豊三裁判長)は17日、食品会社側の特別抗告などを棄却する決定をした。

記者の証言拒絶を正当と認めた東京高裁決定が確定した。

取材源秘匿を理由にした証言拒絶を巡っては、最高裁が今月3日、NHK記者のケースで、「取材方法が一般の刑罰法令に触れるなどの事情が認められない限り、原則として取材源にかかわる証言は拒絶できる」との初判断を示した。

読売記者に対する決定も、NHK記者への決定に言及し、「記者の証言の拒絶には正当な理由があるとした2審の判断は是認できる」とだけ述べて、抗告を退けた。

証言拒絶裁判で、NHK記者は、取材源の数などの証言は拒まず、〈1〉取材源が誰か〈2〉政府職員か――など4項目について証言を拒絶。読売記者は、取材源の数や所属組織などに加え、「取材源が信頼できるか」など取材源特定の可能性がある間接的な質問を含め、21項目の証言を拒んだ。今回の決定は、取材源の秘匿に関し、より幅広い証言拒絶を正当と認めたことになる。

読売記者の裁判では、3月の東京地裁決定が、「守秘義務違反が疑われるような取材源について証言拒否を認めれば、犯罪行為の隠ぺいになる」と指摘、証言拒絶を認めなかった。これに対し、6月の東京高裁決定は、「取材源秘匿は知る権利を守るという公共の利益につながり、取材源に守秘義務違反があっても取材源を秘匿できる」と、すべての証言拒絶に理由があると認めていた。

読売新聞東京本社広報部の話「取材源に関する証言拒絶を正当と認めた司法判断が確定した意義は大きい。当社は今後も取材源秘匿を貫きつつ、報道活動を続けていく」(2006年10月17日読売新聞)