かいふう

近未来への展望や、如何に。

日米外相会談で合意。

麻生外相とライス米国務長官は18日午後、東京・麻布台の飯倉公館で約1時間会談し、国連安全保障理事会北朝鮮制裁決議について、船舶検査を含め、すべての措置を迅速に実施することで一致した。

船舶検査については、具体的な方法を検討するため、実務者級の協議を行うことを決めた。また、北朝鮮に対し、6か国協議への無条件早期復帰を求め、「対話の窓」を開けておくことでも合意した。

会談後、麻生外相は「決議が求める措置の速やかな実施のため、日米が協調して行動し、関係各国に働きかけていく」と記者団に語った。ライス長官も、船舶検査について「北朝鮮の核物質や武器を他の国などに移転させないようにする。ただ、これは海上封鎖ではなく、輸出禁止でもない。(北朝鮮との対立を)エスカレートさせるつもりはない」と述べた。

会談では、北朝鮮による2度目の核実験について、外相は「その可能性を念頭におく必要がある」と述べた。長官も同意した。

また、拉致問題の解決に向けて、日米両国が協力することも確認した。

長官は、北朝鮮の核実験やミサイル発射を踏まえ、「日米安全保障条約をはじめ、すべての約束を改めて明確に確認したい。米国は約束をあらゆる形で履行するための意志と能力を有している」と説明し、米国の核抑止力が有効だとの考えを改めて強調した。

この発言を受け、麻生外相は会談後、「日本が核武装をする必要はなく、日米安保条約が確実に作動する確約が得られた」と記者団に語った。

外相会談後、両者は、久間防衛長官を加え、船舶検査などのあり方について協議した。日米両国や関係各国と情報交換などで連携を強化することで一致した。

この後、ライス長官は首相官邸で塩崎官房長官と会談し、船舶検査などで日米が協力することを確認した。会談後、塩崎長官は「中国がいろいろな形で独自の立場を取っていることを双方で認識し、引き続き中国と連携を図ることで合意した」と記者団に語った。(2006年10月18日読売新聞)
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[日米外相会談]「『核の傘』の抑止力を再確認した」

北朝鮮核武装に対抗するには、米国の「核の傘」を確かなものにする必要がある。

来日したライス米国務長官は麻生外相との会談で、「米国は日本の防衛に対して強い決意を持っている。日米安保条約の義務をすべて果たす」と強調した。

北朝鮮が日本を核攻撃すれば、米国が日本防衛の前面に立つ。ライス長官は、そうした考えに立って、米国の「核の傘」の抑止力を誇示したのだろう。

北朝鮮核武装化が進めば、日本や韓国、台湾が核保有へ進むという見方がある。そうした“核ドミノ”の事態を最も恐れているのが中国だ。

ライス長官の発言は、たんに北朝鮮の暴走を牽制(けんせい)するだけでなく、「そんな事態とならないよう、北朝鮮に核廃棄を本気で働きかけるべきだ」という中国向けのメッセージでもあろう。

核を持たない日本にとって、米国の「核の傘」は、北朝鮮の核攻撃を抑止する唯一の対抗手段だ。抑止力として確実に機能するようにするには、日米同盟を深化させていく不断の努力が必要だ。

日米外相会談では、制裁決議に盛り込まれた、北朝鮮向けや同国からの貨物検査を含む「すべての措置」を履行することで合意した。安保理議長国の日本として当然のことである。

ライス長官は続く韓中露歴訪で、北朝鮮と国境を接する3か国に対し、陸路や空路でも貨物検査を着実に実施するよう促す考えだ。韓中露に履行を促す上でも、日本が、制裁措置の要となる貨物検査に参加することは極めて重要である。

海上での貨物検査――船舶検査について、政府は船舶検査法に基づいて海上自衛隊を参加させる方針だ。不審船の警戒監視や追尾、米艦船への給油などの後方支援が活動の柱となる。

この場合、北朝鮮の核実験を周辺事態法で定める「周辺事態」と認定する必要がある。他に船舶検査をできる根拠法がなく、新規立法では時間がかかる以上、これが最も現実的な対応だ。

船舶検査法には様々な不備がある。

検査には相手の同意が必要だ。警告射撃もできず、強制力がない。船舶検査の前提となる周辺事態法が米軍への後方支援を目的とした法律のため、豪州など他の参加国への支援活動ができない。

船舶検査法で当面対応するとしても、より実の挙がる船舶検査ができるよう必要な法整備の検討も急ぐ必要がある。(2006年10月19日読売新聞・社説)