プロ野球の西武ライオンズは15日、ポスティングシステム(入札制度)を利用して米大リーグ移籍を目指している松坂大輔投手(26)に対して、競合の結果、ボストン・レッドソックスが5111万1111ドル(約60億1000万円)で30日間の独占交渉権を獲得したことを発表した。
ポスティング・システムでは、過去5人の日本人選手が大リーグへ移籍しているが、入札額としては2000年にイチロー外野手に入札したシアトル・マリナーズの1312万5000ドル(当時のレートで14億800万円)を大きく上回り、過去最高となった。
西武の太田秀和球団社長が松坂投手にレッドソックスが落札したことを電話で伝えると、松坂投手は「うれしいです」と率直な感想を述べ、高額入札だったことについても「それもうれしかった」と話したという。
レッドソックスは米東部時間12月15日午前零時(日本時間12月15日午後2時)まで、松坂投手との独占交渉権を有する。契約金、年俸等の交渉が期限内に成立すれば、大リーガー、松坂大輔が誕生することになる。
マサチューセッツ州ボストンに本拠地を置くレッドソックスはアメリカン・リーグ、東地区の強豪で松井秀喜外野手が所属するニューヨーク・ヤンキースとは同地区のライバル。
今季は地区優勝したヤンキースから大きく離されての3位で投手力の強化が課題。松坂投手が入団すれば、先発陣の柱として期待される。
松坂投手は大リーグ移籍を前提に米国での自主トレーニングの候補地視察などのため、15日夕、渡米する。(2006年11月15日読売新聞)
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マスコミも賑わすジョーク含みの金額だとおもう。それだからか、脱力し、何故か悪寒がした。
自分が古い、偏屈者なのか。はじめに断っておく。桁違いではないのか。いくらベースボールが国技のひとつのお国柄とはいえ、プロスポーツの中でもチームプレーやファインプレーが魅せる、人間が発明の極地とはいえ、アメリカ人はかくもマニアなのか。
何を企んでいるのか。脳裏をかすめてはいないか。
日本人の眼差しを他から、照明塔が囲む球場に移したいのだろうか。そこで白球を追う選手の技と情熱の観客となり、反対方向の地域の事は忘れてしまえ、とでも云いたいのだろうか。
老人の取り越し苦労かも知れぬ。しかし、反対方向の地域に眼差しを転ずれば、そこには30年経たとはいえ、未だ復興途上の国があるのだ。傷痍軍人は白内障で職にも就けず、街角からストリートチルドレンの影は消えず、草野球する余暇を見出す生活すら確立できない民衆が。
広い平野の平穏の夜、そこだけ円く浮かび上がった球場に、バットの快音と観衆の歓声。平和だ。同意する。
しかし、顔を反転させれば、昼間の労働に疲れ、勉学の希望も灯火無く、早々と闇夜に従う国もある。その落差が、たまらない。その想像が恐らく、未だ当たっている、と感じるからだ。