かいふう

近未来への展望や、如何に。

中国残留孤児の集団訴訟、判決。

kaihuuinternet2006-12-01

永住帰国した全国の中国残留孤児の約9割にのぼる約2200人が「中国に置き去りにされ、帰国後も苦しい生活を強いられているのは国の責任」として、1高裁・15地裁で1人あたり3300万円の国家賠償を求めた集団訴訟のうち、兵庫訴訟の判決が1日、神戸地裁であった。

橋詰均裁判長は国の責任を認定し、原告65人(1人死亡)のうち61人に、1人あたり660万〜2376万円、総額4億6860万円を賠償するよう命じた。

中国残留邦人を巡る国賠訴訟で、国に賠償を命じたのは初めて。

判決は国の孤児支援策の過ちを明確に認めており、他の集団訴訟にも影響しそうだ。国は控訴の方向で検討を始めた。

橋詰裁判長は、残る4人について、永住帰国から5年以内に賠償請求しておらず、20年で請求権が消滅する除斥期間の経過を理由に請求を棄却した。

判決で、橋詰裁判長は「国は孤児の永住帰国から5年間、日本語の習得や職業訓練などの自立支援義務を負う」とし、北朝鮮による拉致被害者への支援策と比較して「極めて貧弱」と述べ、国の過失を指摘。61人について、1人当たり600万円の慰謝料などを認定した。

さらに、そのうち17人については「入国の際に孤児を外国人として扱い、留守家族の身元保証を要求するなど、帰国を妨げる国の違法措置があった」と国の賠償を認め、除斥期間が経過した2人を除く15人に、帰国が遅れた1か月ごとに10万円の慰謝料を認定した。

争点だった「早期帰国支援義務」は、「政治的責務はあったが、国家賠償責任を発生させる具体的な法的義務を認めるのは困難」と否定した。

自立支援に向けた国の責任については「いたずらに孤児の帰国を大幅に遅らせ、孤児の大半が永住帰国時、日本に適応するのが困難な年齢になったのは、日中国交正常化以降も孤児の救済責任を果たそうとしなかった国の無策と、違法な帰国制限が積み重なった結果」と厳しく批判した。

「戦争損害はすべての国民が等しく受忍すべきで、その補償は行政、立法の裁量に委ねられている」という国の主張に対しては、「国の違法な職務行為によるもので、戦争損害ではない」と退けた。

判決言い渡し後、橋詰裁判長は「司法は弁明せずというが、一言だけ」と前置きし、「判決内容に、不服があると思うが、裁判所は理解している。本件の問題は裁判による解決には大きな限界があると痛感しています」と述べた。一連の集団訴訟は、2002年12月の東京地裁を手始めに、全国15地裁に起こされた。(2006年12月1日読売新聞)
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はじまりが国策ですから、ちゃんと責任を取ってもらわんと。
判決骨子に、北朝鮮の拉致から帰還を果たした方々と比較することがありましたが、ここが目に付きました。
原告側の積年の孤独と忍苦をおもえば、山崎豊子著「大地の子」のTVドラマで主人公と父親が長江を下る船上シーンが浮かんで来て、『勝了』の白紙をひろげる支援者と歓喜の残留孤児の方々の白髪の童心の顔と顔が、祖国がやっと真に受け入れてくれたんだことを、物語っていました。