【ワシントン=貞広貴志】米上院軍事委員会は5日、中間選挙の共和党敗北を受けて更迭されたラムズフェルド前国防長官の後任に指名されたロバート・ゲーツ氏(63)指名承認の本会議上程を全会一致で可決した。
6日にも上院本会議で承認の見通し。ゲーツ氏は、指名承認の公聴会で対イラク政策の転換を言明しており、6日には超党派の「イラク研究グループ」による提言も発表され、ブッシュ政権のイラク政策見直し作業は新長官のもとで本格化する。
ゲーツ氏はこの日の公聴会で、イラク情勢の長期安定は隣国シリアとイランの出方にかかるとの見解を示し、米政府が「両国を建設的な形で巻き込む方策を検討すべきだ」と述べた。ただ、直接交渉や国際会議開催など具体的な方策は示さなかった。
北朝鮮の核問題では、ゲーツ氏が民間人だった1994年、再処理施設の軍事攻撃を主張したことを委員から指摘されたのに対し、「私は北朝鮮への対処について意見を変えた」と述べ、6か国協議を通じ核廃棄を迫る方針を示した。(2006年12月6日読売新聞)
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【ワシントン=五十嵐文】米連邦議会の超党派諮問機関「イラク研究グループ」は6日午前(日本時間同日夜)、イラク政策の見直しに関する報告書をブッシュ大統領に提出した。複数の米メディアによれば、報告書では、2008年初頭までに駐留米軍のうち大半の戦闘部隊を撤収させることやイラン、シリアとの直接対話を始めることなどが盛り込まれている。ブッシュ政権は報告書をイラク政策見直しの指標と位置づけており、報告書の発表を契機に、具体的な「出口戦略」の提示を迫られる可能性が出てきた。
イラク研究グループは、ジェームズ・ベーカー元国務長官、リー・ハミルトン元民主党下院議員が共同代表を務めている。報告書は衛星を通じてマリキ・イラク首相にも報告された後公表される。
CNNテレビによると、報告書は、最大の焦点である駐留米軍の撤退問題について、「イラク政府は特に治安対策で米国の支援が当面必要だが、無期限に大規模な米軍を駐留させておくべきではない」と強調。駐留米軍の任務を、治安対策や戦闘行為からイラク治安部隊の養成のための訓練などに切り替え、14万人規模の兵力を段階的に削減することを勧告する。
「2008年初頭」という時期について、6日付米紙ワシントン・ポストは、「厳格な期限」ではないとのグループの見方を引用している。同紙によれば、イラク側が治安回復に向けて一定の成果を収められない場合は、軍事、経済援助を削減すべきだと勧告する。
報告書はまた、イラク国内の武装勢力に影響力を持つシリアやイランとの直接対話のほか、イラク情勢の長期安定に向けたイラク周辺諸国や中東域外国による「支援グループ」の形成や周辺諸国による国際会議も勧告する。さらに、混乱を助長している中東地域の緊張の緩和に向けて、イスラエル・パレスチナ問題を含む包括的な中東和平にも米国が積極的に取り組むよう求める。
ブッシュ政権は今回の報告書などを踏まえ、6日にも上院本会議で承認されるロバート・ゲーツ次期国防長官の下で、数週間以内にイラク政策の見直し作業を終了し、実施に着手する。
大統領はイラク政府への治安権限移譲を加速化させる方針を示しているが、米軍の撤退日程の提示にはなお否定的とされる。シリアやイランとの直接交渉についても拒否しているほか、「テロとの戦い」の最前線と位置づけるイラク問題と、中東和平は切り離すべきだとの立場だ。
スノー米大統領報道官は5日、大統領が報告書を無条件で実施するわけではないとの考えを表明した。(2006年12月6日読売新聞)
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同一人物が、親子の大統領のもと任官される、という事柄でも関心あります。
イラク国民自ら治めることが、こんな困難と年月を費やすとは。
戦後の治安および復興とは、個人の親切や義侠心でとても片付くもんではありませんね。