国民の生命、財産を守る防衛担当の行政機関が、諸外国と同様に「省」となる。
防衛庁の省昇格関連法が自民、民主、公明3党などの圧倒的多数の賛成により成立した。
防衛庁が発足して半世紀余、ようやく当たり前のことが実現した。国の守りに従事する自衛官の士気も上がることだろう。省にふさわしい体制へ、脱皮を図らなければならない。
中国の軍事大国化、北朝鮮の核武装など、日本を取り巻く安全保障の環境は、不透明かつ不安定だ。これにどう対処するかは、死活的に重要である。
法案審議では、防衛政策の立案能力の強化が一つの論点となった。防衛庁は長期防衛戦略を練るための「戦略企画室」を来年度、防衛政策局に設置する。首相官邸が検討中の日本版NSC(国家安全保障会議)との関係もよく整理しておかなければならないだろう。
防衛体制は、要員、戦車が北海道に重点配備されるなど、依然として冷戦構造を引きずっている。
安保環境の変化や国際テロ、弾道ミサイルなど新たな脅威に備えるため、効率化、合理化をさらに進めるべきだ。
日米同盟強化のための課題も少なくない。在日米軍の再編を着実に進め、日本有事や周辺事態を想定した共同作戦計画を整備しておく必要がある。
ミサイル防衛(MD)システムの配備前倒しは、北朝鮮の核武装に備えるための喫緊の課題だ。
省昇格関連法のもう一つの柱は、自衛隊の国際平和協力活動を付随的な任務から「本来任務」に格上げしたことだ。
防衛大綱は「国際的な安全保障環境を改善し、我が国に脅威が及ばないようにすること」を安全保障の目標の一つとしている。国際社会の平和と安定があってこそ、日本の平和と繁栄がある。自衛隊の国際平和協力活動の本来任務化もまた、当然のことである。
本来任務となれば、より迅速な対応が求められる。テロ対策特別措置法、イラク復興支援特措法など、その都度時限立法を講じるのではなく、機動的に自衛隊を派遣できるよう「恒久法」を制定しておく必要がある。
それが、日本の国際平和協力への姿勢を国際社会に明示することになる。その際、自衛隊の任務の範囲、武器使用基準を国際基準に合わせて見直すべきだ。
久間防衛長官は「国の安全保障政策はどうあるべきか」を考える転換点にあるとの見解も示した。防衛庁と自衛隊は、重要な局面にあることを認識し、より一層、責務を果たしてもらいたい。(2006年12月17日読売新聞・社説)
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既存の仕組みでいうと、内閣府の直属というか、その下の位置付けだと、その時の政府の意向に添う、ということなんでしょう。
省昇格、というは、各省と横並び、すなわち同格。予算の配分が利く訳で、発言力も付いて来る訳ですよね。
相撲の番付表ではないけれど、他国が見ればナメられる位置にはもういない、事ですよね。
当に、士気に係わる問題です。その憂いが解氷する事でしょう。制服でもサイズ不足より、やや大き目の方が動きやすく、防弾チョッキも含める。省の身の丈のそれが、本来の力を発揮しやすい看板を掲げる。それがやっと許可された、事です。
かって、北海道の自衛隊演習場で敷地?内農家支援盆踊り大会に参加し、街でも重装備訓練の部隊を見掛けた者からすれば、どちらも定年の年代。その地に要員、戦車が重点配備される現状を、どう評価してよいかわかりません。
当時の{恵庭事件}、憶えてる人いるのかな。