宇宙航空研究開発機構は18日午後3時32分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから、技術試験衛星「きく8号」を、H2Aロケット11号機で打ち上げた。きく8号は予定の軌道に投入された。
H2Aの打ち上げは今年4機目で、年間の打ち上げ数では過去最多。今回を含む過去11回の打ち上げで、成功率は欧米並みの91%に達した。
携帯可能な小型通信機器と衛星との間で直接通信する実験などを行う「きく8号」の重量は5・8トンで、日本の宇宙開発史上では最も重い衛星となる。世界最大となるテニスコート大のアンテナを2基搭載し、地上の移動携帯端末と音声、画像を直接通信する実験を行う。
最重量の衛星を打ち上げるため、H2Aは今回初めて、1段目に大型補助ロケットを4本取り付け、打ち上げ能力を最大にした「204型」を使用した。H2Aは補助ロケットの組み合わせで4種類の型があるが、これですべての打ち上げに成功した。
同機構などによると、H2A11号機の製造・打ち上げ費用は119億円、衛星開発費は471億円。その他、衛星実験の費用などを含め、きく8号の事業総額は約640億円。(2006年12月08日読売新聞)