かいふう

近未来への展望や、如何に。

あの事件と同じ旧監査法人だと。

kaihuuinternet2006-12-22

[不正会計処理]「日興の対応は大いに疑問だ」

市場の担い手である証券会社が、誤った財務情報を投資家に示していた責任は重い。

証券大手の日興コーディアルグループが不正な会計処理をしていたとして、証券取引等監視委員会金融庁に、5億円の課徴金納付命令を出すよう勧告した。

監視委によると、日興は投資業務を手がける子会社の100%子会社である特別目的会社(SPC)を連結決算の対象に含めず、2005年3月期の有価証券報告書の利益を水増しした。

その虚偽記載のある報告書に基づき、社債を発行した行為が、証券取引法に違反するとしている。

日興も有価証券報告書の訂正や会長、社長らの減給処分を発表した。しかし、その対応には疑問が残る。

日興はこれまで、ベンチャー企業などへの投資育成目的のSPCは連結対象にしなくてもよいとの会計ルールによる、適正な処理だったと主張してきた。

だが、野村ホールディングスなど他の大手証券会社は、同種のSPCを連結対象に含めている。日興自身も今年3月期からは含めることにした。

今回のケースでは、子会社とSPCとの間の債券発行取引で、子会社に生じた利益は連結決算に計上される一方、SPCの損失は計上されず、実態より利益が大きくなった。

証券会社は、投資家に正しい情報を開示するよう、株式や債券の発行企業に促す立場にある。利益操作が疑われるような会計処理は、厳に慎むべきだった。

債券発行の日付を改ざんする不正があったことも明らかになった。日興は「子会社の担当者が一人でやった」と説明するが、監視委は「一定の役職者がかかわっている」と指摘している。

日興は、昨年末から内部調査をしたという。なぜ今まで不正が判明しなかったのか。組織的関与の有無も含め、日興は事実関係を詳細に明らかにすべきだ。その内容で、経営幹部に求められる責任の取り方も変わってこよう。

日興の不適正な会計処理を認めた旧中央青山監査法人の監査には、問題がなかったのか。これは金融庁がしっかり調べる必要がある。

住宅大手のミサワホームホールディングスでも、連結子会社が6年も不正会計を続けていたことが明らかになった。

企業会計に対する投資家の信頼は、カネボウ事件やライブドア事件で大きく傷ついた。なぜ不正な処理が発生し、どうして防げなかったのか、早期発見を妨げたのは何かを、徹底的に洗い出さなければ、信頼は一段と失われてしまう。(2006年12月22日読売新聞・社説)