労働組合からの脱退を巡るトラブルで、会社が解決金を支払う代わりに脱退しないことを約束した従業員が、改めて脱退できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が2日、最高裁第2小法廷であった。
津野修裁判長は、「労組脱退の自由を奪い、永続的な服従を強いた約束は公序良俗に反して無効」とする初判断を示した上で、従業員の請求を棄却した2審・東京高裁判決を破棄し、労組脱退を認める判決を言い渡した。
訴訟は、東芝の小向工場(川崎市)に勤務する男性従業員が同社と同社労組支部を相手取って起こした。
判決によると、同支部に加入していた従業員は1995年、別の労組に加入し、同支部からの脱退届を提出。ところが、同社は労使協約などを理由に、同支部から脱退しないよう求め、同社が250万円の解決金を支払う代わりに、従業員が脱退届を撤回するとの合意が成立した。しかし、従業員は配転への不満から、2001年に再度、同支部に脱退を申し出ていた。
判決は、「従業員が脱退の意思表示をした時点で組合員ではなくなった」とし、給料から天引きされた組合費など約25万円の返還を同社労組に命じた。東芝側の敗訴が確定した。
1審は従業員側が勝訴したが、2審は「合意により従業員は同社労組への所属が義務づけられる」として脱退を認めなかった。(2007年2月2日読売新聞)