【パリ=島崎雅夫】国家による拉致などの禁止を定めた「すべての人を強制的失踪(しっそう)から保護するための条約(強制失踪防止条約)」の署名式が6日、パリのフランス外務省で行われ、日本を含む57か国が署名した。
国家による拉致を禁止した条約は初めて。20か国の批准で発効する。
国連総会で昨年末、全会一致で採択された条約は、国家機関や国の許可を得た個人・集団が逮捕・拘禁・拉致などで個人の自由をはく奪する行為を「強制的失踪」として禁止。組織的で広範な強制的失踪は、国際法の「人道に対する罪」に相当すると規定している。
ただ、条約は非締約国や過去の拉致事件には適用されず、北朝鮮による過去の日本人拉致事件も対象外となる。条約に署名した浜田昌良・外務大臣政務官は、「拉致は犯罪という国際社会の声を明文化したもので、大きなステップ」と述べ、北朝鮮への圧力となることに期待感を示した。
議長国を務めた仏のドストブラジ外相は今年末までに締約国会議を開き、条約の早期発効を目指す方針を示した。(2007年2月7日読売新聞)