総務省消防庁は9日、地震や津波などの緊急情報を、人工衛星から市区町村の防災無線を通じて住民に直接伝える「全国瞬時警報システム(J―ALERT)」の運用を始めた。
対象地域のみで自動的に放送される仕組みで、情報が約20秒以内に住民へ伝わる。
これまでは、ファクスでの情報提供や市区町村職員による無線操作の手間などで、住民への伝達まで数分以上かかっていた。
提供する情報は当面、気象庁の津波警報、緊急火山情報、震度速報など7種類。消防庁は、今年夏には弾道ミサイルの発射情報、地震の初期微動をとらえて大きな揺れを事前に知らせる緊急地震速報なども追加する方針。
9日は岩手県釜石市、埼玉県日高市、千葉県南房総市、兵庫県市川町の4市町のみで運用を開始した。市区町村は、受信アンテナなど数十万円から数百万円の設備投資が必要となる。同庁は新年度予算案に1億8400万円を計上して約700市区町村に受信モデムを配備。2年以内に全自治体への導入を目指す。
9日に地震発生を想定した送受信訓練を行った市川町では、防災無線が起動しなかった。原因は、訓練直前に衛星情報を解析するパソコンの設定を変えたためで、ソフトを入れ直して復旧したという。
また、北海道、埼玉、千葉、東京、福井、長野、静岡、兵庫、鳥取、福岡の10都道県も同日から受信を始めた。都道府県は防災無線での情報伝達はしないが、災害時の態勢作りなどに役立てる。(2007年2月10日読売新聞)