知的障害者の住民票と原付きバイクの運転免許証が不正に取得された事件で、神奈川県警は9日、詐欺容疑などで逮捕した横浜市旭区白根町、配管工星信寛被告(36)(別の逮捕監禁罪などで起訴)ら犯行グループを、道路交通法違反(免許の不正取得)と免状不実記載の容疑でも近く立件する方針を固めた。
調べによると、犯行グループは昨年3月下旬から4月上旬にかけ、横浜市緑区役所で不正取得した障害者2人の住民票の写しを使って、免許証2枚を不正取得した疑いが持たれている。
県警は、星被告ら2人について、知的障害者名義で不正取得した免許証を使って銀行口座を開設し、預金通帳をだまし取った詐欺容疑などで逮捕したが、詐欺罪の罰則が懲役10年以下であるのに対し、免許証の不正取得と免状不実記載は懲役1年以下であることから、当初は両容疑では立件しない方向だった。
しかし、運転免許証の社会的な信用性の高さや県警の組織内にある運転免許試験場で免許証が不正に入手された事実を重視、両容疑でも立件の方針を固めたとみられる。
一方、計6人とみられる犯行グループが不正取得した少なくとも10枚の免許証のうち、数枚が回収できていないことが分かった。道交法では、不正取得した免許証であっても、無効手続きについては本人に直接行わせる必要がある。このため県警は、逃走中のメンバーの行方を追い、残る数枚の発見を急いでいる。(2007年2月9日読売新聞)
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「なりすまし」事件を受け、全国の知的障害者の親たちで作る「全日本手をつなぐ育成会」(東京、会員約30万人)は9日、類似被害の実態把握に乗り出すことを決めた。都道府県と政令指定都市にある正会員56団体に対し、被害者がいるかどうかの調査を求める。
犯行グループが障害者の自宅のポストから郵便物を抜き取り、名前や生年月日などの個人情報を入手していたことから、郵便物の管理徹底も呼びかける。
被害に遭っている人や不安を抱えている障害者、家族、支援者に対応する電話相談(03・3431・0668)も受け付ける。(2007年2月9日読売新聞)