富山県氷見市の男性(39)が2002年、同県警に婦女暴行・同未遂容疑で誤認逮捕され、実刑判決を受けて服役した冤罪(えんざい)事件で、富山地検高岡支部は9日、富山地裁高岡支部に男性の無罪判決を求める再審を請求した。
また、地検高岡支部は同日、両事件を自供した松江市西川津町、無職大津英一被告(51)(公判中)を地裁高岡支部に起訴した。
大津被告はこれまでに婦女暴行傷害など10件の罪で起訴されており、公判の長期化が予想される。
地検は男性の名誉回復を急ぐため、大津被告の有罪判決確定を待たずに再審請求に踏み切る異例の判断をした。裁判官が「請求の理由がある」と認めれば、再審開始が決定される。
一方で富山地検は、事件を捜査した担当者を処分しない方針を明らかにした。佐野仁志次席検事は、男性や被害者らに謝罪するコメントを出すとともに、「犯人でないと知りながら男性の罪をでっち上げたものではなく、職務上の義務に反した訳ではない」と説明した。男性は、読売新聞の取材に「(処分なしは)納得できない。謝罪されたとは思っていない」と語った。また、男性の兄は「再審の公判では、なぜ誤った逮捕や起訴が行われたのか、はっきりさせてほしい」と話した。(2007年2月9日読売新聞)