東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で今月6日、線路に入り込んだ女性(39)を保護しようとして電車にはねられ、12日に死亡した警視庁板橋署常盤台交番の宮本邦彦巡査部長(53)(警部に2階級特進)の通夜が14日、同区舟渡の葬祭場で営まれた。
途中から激しい雨が打ちつける中、和田康敬・副総監ら同庁の職員や宮本さんを知る住民ら約630人が参列し、葬祭場の敷地内には一時、参列者が100メートル近く列をなした。
ときわ台駅近くで働く寺井士郎さん(77)は「本来、行動を起こさなければならなかったのは近くに住む私たち。宮本さんは、それに代わって身を挺(てい)して市民を守ってくれた。申し訳ないと思うとともに、今はただ手を合わせるだけで精いっぱいです」と声を詰まらせた。(2007年2月14日読売新聞)
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東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で今月6日、線路に入り込んだ女性(39)を保護しようとして電車にひかれ、12日に死亡した警視庁板橋署常盤台交番の宮本邦彦巡査部長(53)(警部に2階級特進)の告別式が15日、同区舟渡の戸田葬祭場で営まれ、同僚警察官や同駅周辺の住民ら約550人が参列し、冥福(めいふく)を祈った。
宮本巡査部長と同期入庁の第2機動捜査隊の鍋田陽一副隊長が、「何よりも好きだった警察官の仕事を全うした。あなたの人生は短いながらも、完全燃焼したと信じます」と、声を詰まらせながら弔辞を読み上げた。
出棺の際、喪主で妻の礼子さん(53)は、「これも天命として受け入れようと努力しています。お父さんの行動を誇りに思います」と気丈な声であいさつした。
ひつぎは、警察学校時代の同期生で、同庁音楽隊の寺田浩一警部補のトロンボーンの音色に見送られながら会場を後にした。
列席した同庁OBの新倉正美さん(56)は、事故のニュースを知った時、約20年前に町田署で一緒に勤務した当時と「全く変わっていない」と感じたという。宮本巡査部長は朝夕の登下校時に必ず路上に立ち、子供たちが安全に通学できるよう見守っていた。新倉さんは「新入生にはできるだけ声を掛けていた。街とのふれあいを大切にする、警察の仕事の基本を最後まで忠実に守った人だった」と声を落とした。
また、板橋署の男性警察官は「宮本さんの姿に改めて勇気をもらった」と遺影を前に誓った。(2007年2月15日読売新聞)