[日興とシティ]「信頼失墜が大型買収を招いた」
不正会計による信頼失墜で、3大証券の一角が外資に買収される事態に追い込まれた。
日興コーディアルグループと米シティグループは、シティが日興株の50%超取得を目指し、株式公開買い付け(TOB)を実施することで合意した。
日興株を買い集めた外資系ファンドらの動向によっては、TOBが成立しない可能性もあるが、成立すれば外資の日本企業買収としては過去最大級となる。
日興については、利益水増し問題をめぐって、東京証券取引所が近く上場継続の可否を決定する。上場廃止となれば、顧客の日興離れや人材流出が進み、株価の大幅下落も避けられない。
世界最大級の総合金融グループであるシティは、対日戦略の強化が課題となっていた。日興を傘下に収めることで、すでに日興と合弁で事業を展開している法人向け証券業務などに加え、個人向け業務でも基盤を強化できる。
だが、きっかけが日興の市場への裏切り行為だったことを、忘れてはなるまい。
外資の傘下入りを、一時しのぎの不安解消策ではなく、不正を生んだ企業風土を改めて、法令順守を徹底していく再出発の契機にしなければならない。
シティも、2004年にマネーロンダリング(資金洗浄)と疑われる取引を放置するなどの法令違反で、日本での富裕層向け事業から撤退を迫られた経緯がある。市場や顧客の信頼の確立は、シティにも共通した課題だ。
「貯蓄から投資へ」の動きの強まりなどを受け、国内大手金融グループは証券戦略の強化が求められている。1500兆円にのぼる日本の個人金融資産に関心を持つ外資も多い。
シティの本格的な日本市場参入を受けて、国内勢は、他の外資の動向もにらみつつ、新たな再編・提携を含めた経営戦略の立て直しが必要になろう。
ただ、規模や利益の追求にかまけ、顧客重視、信頼第一の基本を怠ることがあってはならない。不正な行為の結果、買収される憂き目を見た日興の例が、よい教訓になる。(読売・社説)
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なんか寒々しました。この冬は暖冬で、コタツを作ることなく来たのが、この件で、おもわず「氷点」に眼をやりました。