かいふう

近未来への展望や、如何に。

アンデルセン童話から、能楽劇「命の花」上演。

能楽師観世流の中所宜夫(なかしょ・のぶお)さん(48)がアンデルセン童話「ある母親の物語」をもとに現代語で書き下ろした能楽劇「命の花」が今月10日、東京・新宿区の矢来能楽堂で演じられる。

演じるのは10歳から16歳の子どもたち。伝統的な能の世界観を伝える新たな試みだ。

中所さんが「ある母親の物語」と出合ったのは、一昨年。電子音楽などと能の共演というイベントで、デンマーク人が物語から作ったオペラに心打たれた。

病気でわが子を亡くした母親が自らを傷つけて死に神に会いに行き、子を返してほしいと懇願するストーリー。中所さんは「子どもの命を取り戻そうと懸命の母親が、最後には結局、定めを受け入れるという世界観が、能『江口』で描かれる『思えば今生は仮の宿』に通じるものがある」と感じた。

能楽劇の創作を思い立ち、今年1月に台本(謡本)を完成させた。

以前から「能を通して子どもが成長するような作品を」と考えており、「人間形成」に重点を置くシュタイナー教育を実践するNPO法人「東京賢治の学校」(東京・立川市、鳥山敏子代表)の児童・生徒に演じてもらうことになった。

現在、新しい創作能の8割から9割が擬古文で書かれているが、「これからを思えば、昔ながらの言葉でなく、今の人に素直に伝わる言葉を使いたい」と中所さん。台本には、童話を読んで書いた同校生徒の詩の一部も使われている。

本番を間近に、出演する19人は連日、熱のこもったけいこをしている。母親役の佐藤草(かや)さん(16)は「自分が母親になるのは先ですが、物語の母親の気持ちはすごくよくわかります」と話していた。(読売)
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上演予告にはならなかった。御免なさい。
40年前、購入した少年少女の某全集のひとつに、「アンデルセン」があり、挿絵の主がいわさきちひろさんで、記憶があった。
後年、東京のその美術館を訪れ、彼女のアトリエ兼書斎も拝見した。その間、丹沢湖までの一泊、国民宿舎の食堂に架かっていたのが、彼女の絵のカレンダーだった、とおもう。
なんと、今回ホームページを開くと、初代館長が劇作家飯沢匡さんで、彼の自宅が、自分が通っていた教会の隣であった。
アンデルセンのミドルネームはクリスチャン。北欧の詩人にして童話作家は、その数々の作品が、記憶に残る。同じ北欧でも、哲学者のキルケゴールとはちがう。
時代、というものを痛感する人、のひとりに彼女が浮かぶ。これは、ある種のシットみたいなもので、でも嫉妬では決してない。ご主人が高名な弁護士にして政治家。当然影響受けるであろうから、お二人共、共産党であろうと。そして、ベトナム戦争反対で、結局勝利する。結果論なんだろうけれど、その信念が、夫婦の絆という形で、自分は受け取った訳だ。社会主義政権が当時の南ベトナムサイゴンをも陥落させて、取り込んでしまう。ホー・チミン市が誕生する。それは、ある国が祖国をつくるのに、他国の干渉や、ましては侵入などまっぴらで、先ず民族自決の独立、そして緩やかに、という意味合いのものだろう。決して他国の利害で武力でご都合主義を押し付けてもらいたくない、というものだ。
そのベトナムも、かっての敵国と30年経て、通商条約を結んだ。
でも、歴史というものは、そこに戦争があって、それが史実となっても、その戦争で戦死や病死した者たちは、もう故郷に戻って来ないという真実をも、記述し記録されるものなのだ。ひとりの者が、それでは一体数百万の犠牲者の何人を記憶に留めるのが可能なのだろう。彼らを数えることを省略して、祈り念じる以外、術を知らぬ。
アンデルセンの童話、その挿絵も含めたちひろさんの絵が、共感を呼び、安らぎを与えるのは、まさにイデオロギーやエゴで殺し合いする戦争好きの輩を拒否する、平和の館を構築するからでしょう。
掲載は、ちひろ美術館東京。