ライブドア事件で粉飾決算に加担したとして、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた公認会計士・久野太辰(42)、同・小林元(52)両被告の判決が23日、東京地裁であった。
小坂敏幸裁判長は「公認会計士に与えられた崇高な使命を忘れ、その職責を放棄しており、監査制度や公認会計士に対する社会的信用を著しく失墜させた」と述べ、久野被告に懲役10月(求刑・懲役1年6月)、小林被告に懲役1年、執行猶予4年(同)の有罪判決を言い渡した。
日本公認会計士協会によると、粉飾決算など同法違反に問われた公認会計士が実刑判決を受けたのは初めてという。一連のライブドア事件での実刑は、前社長・堀江貴文被告(34)、元取締役・宮内亮治被告(39)に続いて、3人目となった。
2人は、ライブドアの2004年9月期連結決算で、有価証券報告書に虚偽の内容が記載されているのを知りながら、監査で問題がないとする適正意見を付けたなどとして在宅起訴されたが、公判では、堀江被告ら旧経営陣と共謀した事実はないなどとして無罪を主張していた。
判決はまず、捜査段階の供述やメールのやりとりから、「犯行の隠ぺい行為に積極的にかかわった」と、2人と旧経営陣との共謀を認定。その上で、「公認会計士として社会から託された職責を果たさず、堀江被告らの粉飾を是認した。ライブドアが一般投資家を欺くのを阻止できたにもかかわらず、それを助長した責任は重い」と厳しく批判した。また、不正の発覚を防ぐため2人が粉飾の仕組みを複雑化させた点についても、「専門知識を悪用しており悪質だ」と述べた。
判決は、ライブドアの監査責任者で、適正意見を付けた監査報告書に署名した久野被告について、「犯行に加担した動機はライブドア関連の収入を確保することにあり、自己の経済的利益を投資家の利益に優先させた」とし、「職責の重さや結果の重大性からすると実刑をもって臨まざるを得ない」と述べた。
一方、久野被告の前任者で、粉飾決算が行われた年の前年までライブドアの監査を担当していた小林被告については、事件当時は監査法人を脱退し、監査意見について責任を持って決定する立場になかったことなどから、執行猶予付きの判決とした。(読売)
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実刑の鼎は立証された。