【ニューヨーク=佐々木良寿】おぞましくて言葉も出ない――。バージニア工科大で16日発生した米史上最悪の銃乱射事件について、全米の主要紙は17日、深い悲しみと怒りを込めて詳細に報じた。
コロラド州デンバー郊外のコロンバイン高校での銃乱射事件から8年。その報道ぶりからは、今回の事件の衝撃の深さと教育現場での惨劇を食い止めることができない現状への無力感がうかがえる。
各紙は、「バージニア工科大で32人が犠牲に」といった見出しで、1面トップで事件を報道、さらに、乱射事件の舞台となった「ノリス・ホール」での模様、大学、警察関係者の記者会見など、事件に多くの紙面を費やした。
ワシントン・ポスト紙は、「ブラックスバーグの殺人者」と題する社説で、「前途有望な若者の命が絶たれたことに全米が深い悲しみに包まれている」としたうえで、「犯人はどうやって銃を手に入れたのか、教室や寮に金属探知器を設置すべきではないのかといった議論は高まる一方で、悲しみは続く」と述べ、銃規制論議が着地点を見いだせないまま惨劇ばかりが繰り返されることを指摘した。
ロサンゼルス・タイムズ紙は、「今回の事件が銃規制論議を呼ぶことは明らかだ。また、大学側の落ち度を指摘する向きもあるだろう」としながらも、「事件の規模を考えると、冷静に対応することは不可能だ。今は、黙とうをささげるしかない」と感情的な論調を掲げた。
両紙の社説には、全米を二分する銃規制論議へのもどかしさがにじんでいるが、規制強化を訴えたのは、ニューヨーク・タイムズ紙。同紙は、「米国民の直面する最も深刻な危険は、驚くほど容易に入手できる銃で武装した国内の殺人者であることを改めて想起させた」としたうえで、「緊急に必要なことは、破壊的な殺戮(さつりく)と耐えきれない損失を生じさせる武器に対する厳格な規制だ」と、銃規制の早期実現を訴えた。(読売)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【エルサレム=三井美奈】米バージニア工科大の銃乱射事件で、学生を避難させようとして死亡した教授の1人が第2次大戦中のホロコースト(ユダヤ人虐殺)を生き延びたイスラエル人だったことが分かり、同情の声が高まっている。
18日付のエルサレム・ポスト紙によると、この教授はルーマニア生まれのリビウ・リブレスク氏(77)。大戦中、父親がユダヤ人収容所に送られた後、逃亡生活を送った。東西冷戦中、共産主義独裁体制となったルーマニアで工学教授となったが、1970年代に政権と対立してイスラエルに移住。80年代から、同大で教えていたという。テルアビブ郊外に住む教授の息子は17日、「冷戦中、父は命がけで論文を発表していた。だから、父が犯人に立ち向かったと聞いても驚かなかった」と話したという。(2007年4月18日読売)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こういう事件は、その常軌を逸した、被害者数の多さからして、とても個人のブログで扱えるものではない。分析するのに数日掛かるだろう。それで、マスコミのプロの社説から、という段構え、で残す方が、かなっている。悲惨な事件に、哀悼は変わりない。