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南海地震の想定震源域、と「スロースリップ」。

マグニチュード8級の地震を起こすと予想される南海地震の想定震源域に近い四国で観測されている微動は、四国の地下にプレート(岩板)がゆっくりと滑り込んでいく「スロースリップ」に伴って起きていることが、東京大学と米スタンフォード大学の研究でわかった。

南海地震に関係するさまざまな現象のつながりが、明らかになってきた。3日付の英科学誌ネイチャーに発表する。

南海地震は、日本が乗っている陸側のプレートと、その下に南東側から沈み込む海側のプレートとの境界で起きるが、2002年に発見された微動の正体は不明だった。

研究チームは、この微動が巨大地震の想定震源域よりも深い地下30〜35キロのプレート境界で発生することをつかんでいた。これとは別に防災科学技術研究所茨城県つくば市)は、通常の地震に比べ20倍のゆっくりした周期で揺れる「超低周波地震」を、近畿や四国の地下30〜45キロで見つけていた。

これらを、「傾斜計」という観測装置でとらえたスロースリップのデータと突き合わせたところ、揺れの規模と継続時間に共通の特徴があり、微動と超低周波地震はいずれも、スロースリップにより引き起こされていることがわかった。

微動は、四国以外にチリやアラスカでも見つかっている。東大の井出哲講師は、「スロースリップが起きると、滑りの悪い隣の領域に大地震をもたらすひずみがたまる。そのひずみ量の推定に、これからは微動や超低周波地震の観測を生かすことができる」と話している。(読売)