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水俣病認定を求める行政訴訟。

「関西水俣病訴訟」の最高裁判決で勝訴した大阪府豊中市の女性(81)が16日、国や熊本県などを相手に、水俣病認定を求める行政訴訟を大阪地裁に起こした。

水俣病裁判の勝訴原告が行政の認定を求めて提訴したのは初めて。

最高裁水俣病の認定基準について、国よりも緩やかな判断を示し、原告らを患者と認めたが、行政側は基準の見直しを拒否し、司法と行政の“二重基準”の状態が続いている。女性側は「多くの被害者に認定の道が開かれるよう、行政に基準の是正を求めたい」と訴えている。

訴状などによると、女性は熊本県水俣市で生まれ育ち、20歳代後半から手足がしびれるようになった。1971年に兵庫県尼崎市に転居し、78年に熊本県水俣病認定を申請。しかし、80年に棄却され、異議申し立ても退けられた。

このため、女性は81年、国に不服審査を請求するとともに、88年には国と県、原因企業のチッソ(本社・東京)を相手に損害賠償を求める関西訴訟に参加、2004年10月、最高裁は国と県の賠償責任を認め、判決が確定した。

最高裁判決は、「汚染された魚介類を多く食べ、指先などに障害があれば患者と認める」として女性を患者と認定。しかし、国は今年3月、感覚障害や視野狭さくなど「複数の症状の組み合わせが必要」とする従来の基準を重視し、不服審査請求を棄却した。

女性側は「行政の認定基準の運用は、多数の水俣病患者の適正な救済を求める権利を侵害している」と主張している。

認定を巡っては、関西訴訟原告団長の川上敏行さん(82)と妻カズエさん(80)(大阪府東大阪市)も熊本県を相手に認定などを求め、18日に熊本地裁に提訴する。(読売)