政府は8日、該当者不明の約5000万件の年金納付記録を、だれの記録か調査する作業について、該当者不明記録の氏名などにある程度のミスがあっても、該当する可能性がある対象者を検索できる新しいソフトウエアを導入する方針を固めた。
政府は、調査の効率を上げ、記録の持ち主をより多く判明させたい考えだ。
新ソフトは、NTTデータと日立製作所が共同で開発する。数か月程度で完成する予定だ。政府はこのソフトの活用により、「1年以内に全件の調査を完了させる」との方針を実現させたい考えだ。
政府が行う調査は、年金の加入者(約7000万人)と受給者(約3000万人)の計約1億人分の「氏名」「生年月日」「性別」の3条件と、5000万件の記録上の3条件が一致するかどうかをコンピューター上で照合する作業が基本だ。
新ソフトは、例えば、「古谷(ふるや)」という年金受給者または加入者の記録が、該当者不明記録では「フルタニ」「コタニ」などと打ち間違えられている可能性もあると見て、これらも含めピックアップする。これ以外にも、生年月日の一部の数字だけが異なっているケースや、「ヒロミ」という名前の女性の記録を「男性」と登録しているケースなども検索できる。検索された記録は、「完全に一致」「大半が一致」「一部だけ一致」など、関連度の高さごとに分類される。
検索後の記録は、社保庁から該当者の可能性がある受給者らに通知され、社会保険事務所などで、領収書などに基づく記録の確認作業が進められる予定だ。
一方、電話が殺到している社会保険庁の年金相談は8日夜から、従来の2〜3倍の180人に増やし、「いつでもつながる」体制を目指すこととした。(読売)
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年金記録漏れ問題による国民の不安を少しでも解消しようと、社会保険庁が設けた臨時相談窓口や全国の社会保険事務所には9日も多くの人が相談に訪れた。
東京都内では大手町の逓信総合博物館前と渋谷駅構内に設置された臨時窓口に合計で148人が訪れ、保険料の納付記録などを確かめた。同博物館前では10日も午前9時30分から午後4時まで相談を受け付ける。
一方、社会保険事務所では毎月第2土曜日は通常の相談業務を行っており、この日、東京・千代田社会保険事務所には、普段の倍以上の42人が訪れた。
今回の問題を受け、全国の社会保険事務所では10日も午前9時30分から午後4時まで臨時で相談を受け付ける。東京社会保険事務局の担当者は「年金手帳を持参してほしい。職歴が複雑な人は確認できるものがあれば記録との照合がスムーズにいく」と話している。
社会保険庁は、急きょ24時間態勢に拡大した電話相談「ねんきんダイヤル」(0570・05・1165)を11日朝から通常対応(午前8時30分〜午後5時15分)に戻し、同日から新たに年金記録相談専用の「ねんきんあんしんダイヤル」(0120・657830)を設けて24時間対応する。(読売)