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東京大気汚染訴訟で、原告側が国、都と和解する見通し。

自動車の排ガスで健康被害を受けたとして、東京都内のぜんそく患者らが国や都、自動車メーカー7社などに損害賠償を求めた東京大気汚染訴訟で、原告側が国、都と和解する見通しとなった。

15日、国側が具体的な環境対策案を原告側に示し、既に公表されている医療費助成制度への資金拠出などと合わせて国の和解案の内容が出そろったほか、都も週明けに独自の環境対策案を正式に提示する予定だ。

原告側はこうした対策を高く評価し、国と都については和解成立の条件が整ったと判断した。

訴訟の全面和解には、メーカー7社が支払う解決金の額が課題となっており、原告側はメーカー側との交渉が難航した場合、国と都とだけ先行して和解に合意する可能性もある。

原告側によると、同日午前、環境省国土交通省などから提示された環境対策案は、〈1〉都心の交通量を分散するため中央環状線圏央道、外環道の3環状道路の整備を進める〈2〉都内の交差点立体化や道路の拡幅など道路構造を改善する〈3〉東京湾アクアライン圏央道などの通行料割引で都心の交通渋滞緩和を図る――など。交差点の立体化や道路環境の改善地点などについては、「国道15号南蒲田交差点」など具体的な場所が多数挙げられている。また、自動車の排ガス規制の強化や低公害車の普及なども盛り込まれた。

国は既に、ぜんそく対策事業の基金から60億円を医療費助成制度に拠出することを公表。さらに基金の運用益(今年度は約14億円)を活用し、吸入器の無償貸与や健康診断などのぜんそく予防事業を推進する方針も明らかにしている。

一方、都は昨年11月、国と都、自動車メーカーなどが分担し、5年間で約200億円の医療費を助成する救済策を提案しているが、これに加え、独自の環境対策案を18日にも原告側に正式に提示する。

都の環境対策案は、〈1〉窒素酸化物(NOx)や、浮遊粒子状物質(SPM)の濃度が高い都内の幹線道路沿いを中心に、街路樹の植樹、緑地帯の新設、歩道の拡幅などを進める〈2〉原告が求めている東京の大気環境を改善するための協議機関に参加する――など。こうした対策のうち今年度実施される約50億円については、すでに予算化している。

原告側は15日、記者会見し、「国と都については和解成立の見通しが強まった」と述べた。

一方、原告側がメーカーに求めている解決金については、メーカー7社が4〜5億円の支払いに合意したが、原告側は計30億円以上の解決金を求めており、折り合いがつかないまま、膠着(こうちゃく)状態が続いている。(読売)