東京都八王子市の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)高尾山トンネルなどの建設に反対する住民ら約1300人と7自然保護団体が、国と日本道路公団(現・中日本高速道路会社)に工事差し止めを求めた訴訟の判決が15日、東京地裁八王子支部であった。
押切瞳裁判長は「大気汚染、騒音などで住民らに具体的危険が生じるおそれを認めるに足る証拠はない。建設には公益性が認められる」として、訴えを棄却した。
原告側は「国の主張をうのみにした判決で、到底承服できない」として控訴する方針。
原告側が主張した環境権(良好な環境で生活する権利)について、判決は「環境は不確定かつ流動的」と述べ、差し止め請求権の根拠とは認めなかった。
訴訟は、住民らが2000年10月、約5キロ区間の工事差し止めを求めて提訴。原告には当初、高尾山やムササビ、オオタカなども加えられていたが、同支部は「自然物には当事者能力がない」として訴えを却下し、原告を住民らに限定して続けられていた。(読売)