犯罪被害者が刑事裁判で被告人質問や求刑を行える「被害者参加制度」の関連法が20日午後、参院本会議で可決、成立した。
この制度の基礎となった試案を作成した全国犯罪被害者の会(あすの会)のメンバーが成立を受けて記者会見し、喜びを語った。
「これまで、被害者は裁判の『証拠品』として扱われ、苦しんできたが、これで苦しみは相当軽減される」。2000年の同会設立以来、代表幹事として運動の先頭に立ってきた岡村勲さん(78)は、感極まったように話した。
かつては日本弁護士連合会の副会長まで務めたが、1997年に妻を殺害されたことで、被害者の地位向上に取り組み始めた。「冷たい弁護士だった。ただただ恥じ入るばかり」。事件前は、被告の権利擁護しか頭になかったという自分を、そう振り返る。
「妻のために、何か一つ、大きなものを残してやりたい」と考え、自ら提唱した今回の制度。「重罰化につながりかねない」などとして反対する日弁連を“敵”に回すことになったが、国会では圧倒的多数の賛成で成立した。
「『今日は泣くかもしれないから会見には出たくない』と岡村さんは言っていた」。会見でメンバーの一人が明かすと、上を向き、あふれそうになる涙をじっとこらえていた。(読売)