自動車の排ガスで健康被害を受けたとして、東京都内のぜんそく患者らが国や都、自動車メーカーなどに損害賠償を求めた東京大気汚染訴訟の控訴審で、原告団とメーカー7社は2日、メーカーが12億円の解決金を支払うことなどを内容とする東京高裁の和解案を受諾するとの書面を、それぞれ同高裁に提出した。
国、都、首都高速道路会社は既に受け入れを高裁に伝えている。訴訟の全当事者が和解に合意したことで、提訴から11年に及んだ訴訟は全面決着する。
高裁の和解案は、12億円の解決金支払いのほか、ぜんそく患者のための医療費助成制度の創設や、交通渋滞を緩和するための交差点の立体化などの公害対策の実施が柱となっている。
原告側は同日午前、高裁に出した書面で、医療費助成制度と公害対策について、「画期的で早期の実現が望まれる」と高く評価。解決金の金額については不満も示しつつ、「和解案を拒めば、医療費助成制度などが無に帰すことになる」として、勧告を受け入れた。
原告側は午後に記者会見を行い、「解決金は12億円だが、医療費助成制度への拠出金33億円を合わせれば、メーカーの負担額は計45億円になり、過去の大気汚染訴訟の企業負担としては最高となるため、和解を選択した」とも説明した。
一方、トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、日野自動車、いすゞ自動車、日産ディーゼル工業、マツダのメーカー7社も同日午後、「和解案に異存がない」と高裁に回答した。
その上で、7社は連名で、「都内の自動車走行量・保有台数が多いことなどの地域特殊性を踏まえ、社会的責任の見地から負担を求められたと理解し、受諾の結論に至った」とするコメントを出した。また、7社は、「今後も更なる技術開発により、大気環境改善の一翼を担うべく全力を尽くしていく」としている。
関係者によると、メーカー7社が支払う解決金や、医療費助成制度への拠出金の負担割合については、各社が製造・販売するディーゼル車の排ガス量の排出割合に応じて支払うことになるという。
東京大気汚染訴訟は1996年5月に第1次提訴が起こされ、昨年2月の6次までに原告となった患者は633人。高齢化で100人以上が亡くなるなどして、現在の原告患者数は522人となっている。(読売)
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提訴から11年に及んだ訴訟は全面決着する、ことを「ブログ」に書き込む、この出会いに、密かな興奮を禁じ得ない。