今年4月に改正海洋汚染防止法が施行され、廃棄物の海洋投棄が大幅に制限されたことを受け、海上保安庁は、作業船への立ち入り検査などを通じて不法投棄への監視強化に乗り出した。
法改正で家庭などから出る一般廃棄物の投棄が全面禁止され、産業廃棄物についても投棄の要件が厳しくなったが、海保では、従来の取り締まりに加え、無許可の廃棄物を積んだ作業船を確認した場合に出港の取りやめを指導するなど、不法投棄の未然防止作戦を展開することにしている。
改正海洋汚染防止法は、尿や家庭の「燃えないごみ」などの一般廃棄物の海洋投棄を全面的に禁止した。建設土砂や家畜のふん尿などの産業廃棄物については、環境省が個別の投棄の是非を判断することになるが、同省が許可した場合でも、海保が業者から提出された書類や作業船への廃棄物の積み込み状況をチェックする仕組みが設けられた。
これにより、海洋投棄量が大幅に削減されることが期待されているが、海保では、投棄のルールが厳しくなったことで、処分業者側が許可を受けなかったり、許可申請書類で虚偽記載をしたりするなどの動きを警戒。海洋への不法投棄は、業者を摘発できても廃棄物の回収は極めて困難なため、今後は書類審査や立ち入り検査の精度を高めるなどして投棄前の監視体制を強化し、作業船に無許可の廃棄物を積んでいることが確認されれば、出港をとりやめるよう指導する。(読売)