かいふう

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『乳酸菌は、ニューサン菌』。食卓のメンバー.その5

胃潰瘍や十二指腸潰瘍ばかりか、胃がんを引き起こす因子の一つとも見られるピロリ菌。日本人の感染者は5000万人から6000万人と言われるが、LG21乳酸菌にその活動を抑制する効果のあることが、高木敦司・東海大学教授らの研究で改めて確認された。
本誌 吉山一輝 人や動物の胃に生息し、胃潰瘍などを引き起こすピロリ菌。大きさは2.5〜5マイクロメートル(東海大学医学部 古賀泰裕教授 提供) 。現在、ピロリ菌の除去には、「3剤療法」と呼ばれる治療法が標準となっている。胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬と、抗生物質であるアモキシシリン、クラリスロマイシンという三つの薬剤を併用して、ピロリ菌を除去する。だが、この療法は必ずしも万全とは言えない。
高木教授は、「クラリスロマイシンには耐性菌が多いのです。今年6月の学会で報告されたデータによると、3割のピロリ菌がクラリスロマイシンに対する耐性があります。このため、3剤療法でも2剤しか効かない場合があり、実際に治療しても、除菌が成功するのは7割程度なのです」と話す。ピロリ菌は人の体内に入ると、胃の上皮に付着する。上皮からは、体の防御に関する「インターロイキン8」という糖たんぱく質が出て、白血球の一種、好中球を呼び寄せて、そこから出る毒性の強い活性酸素によってピロリ菌を殺そうとする。だが、ピロリ菌は粘液の中に潜んで影響を受けずに生き残り、逆に活性酸素の毒素が胃の粘膜を傷つける。これがピロリ菌によって胃潰瘍が発生するメカニズムだ。ピロリ菌に感染した人がすべて病気になるわけではないが、実に胃潰瘍の7割、十二指腸潰瘍の9割は、ピロリ菌に起因する。今回、高木教授らは、この3剤療法に、ピロリ菌の活動を抑制するLG21乳酸菌入りヨーグルトを併用した。除菌率が7割から8・5割に。実験の結果、3剤療法だけの除菌率は71・4%だったが、これにLG21乳酸菌を併用すると80%に上がった。さらに、胃の粘膜の防御機能を増強する薬品プラウノトールを加えると、除菌率は85・7%にまで上昇したという。また、「データはとれていませんが、LG21乳酸菌には整腸作用があるため、3剤療法の副作用である下痢を抑える効果も見込めます」と、高木教授は語る。3剤療法とヨーグルトの併用で除菌率が上がることは、海外の実験でも報告されているという。このほか、高木教授らの研究グループは、ピロリ菌に感染している30歳以上の男女104人に対し、LG21乳酸菌の効果を測定する実験を行っている。実験は104人を二つのグループに分け、片方にはLG21乳酸菌が入ったヨーグルトを、もう片方には普通のヨーグルトを1日1個、12週間続けて食べてもらい、ピロリ菌の量を調べるものだ。
この実験では、胃粘膜の炎症が強くピロリ菌保有量が多い人に、炎症の軽減とピロリ菌の減少が確認されている。高木教授は、「LG21乳酸菌に、胃の健康を保つ効果があることは間違いありません。ただ、LG21乳酸菌入りヨーグルトは、あくまで健康食品であり、毎日食べているからといって、完全に胃がんなどのリスクがなくなるわけではありません。病気に備えて胃の検診は、定期的に行うことをおすすめします」と話している。(読売ウイークリー2007年8月19・26日号より)