かいふう

近未来への展望や、如何に。

社会保険庁の改革.その36。

kaihuuinternet2007-10-13

犯罪を告発するのは当然である。しない方がおかしい。

市区町村職員による年金保険料の横領事案のうち、厚生労働省社会保険事務局長名で、まず宮城県大崎市(旧田尻町)の元職員を刑事告発した。

時効前にもかかわらず、自治体が告発しようとしない事例がまだある。厚労省は、すべて粛々と告発してもらいたい。年金業務の信頼を回復するためにも、厳格な姿勢が必要だ。

自治体職員による年金横領は全国調査で101件、2億4300万円に上る。このうち、自治体が警察に告発した事例はわずか18件しかない。

時効の7年を過ぎていないのに、まだ告発されていない事例は、横領した本人が死亡しているケースを除いて8件あった。だが、舛添厚労相の要請に応じて告発したのは、東京都日野市だけだ。大崎市など7市町は、自らは告発しない、と言明している。

告発を渋る自治体は、「懲戒免職処分で社会的制裁を受け、被害も弁済している」(大崎市)などとして、決着済みを強調する。

おかしな言い訳だ。刑事訴訟法は、公務員が犯罪を見つけた時は告発しなければならない、と規定している。社会的制裁を斟酌(しんしゃく)して、不起訴にしたり、刑を軽くしたりするのは、検察官や裁判官が判断することである。行政が勝手に告発義務を放棄することは許されまい。

告発しない自治体の首長は、職員や労働組合など、“身内”への配慮を優先しているからではないのか。

さらに言えば、告発をかたくなに拒否するのは、今回あぶり出された年金保険料以外にも、税金や給付金などが横領され、告発しないまま済ませている案件があるからではないか。そう勘ぐられてもやむを得まい。

宮城県村井嘉浩知事は、告発しない大崎市の姿勢に理解を示し、「公金横領で処分された公務員は相当数いる。年金を着服した職員だけを抜き出して告発するのは難しい」などと発言している。

ならば、これは年金にとどまる問題ではなかろう。国、地方を問わず、公金横領などの犯罪が告発されていない事例がどれほどあるのか、総点検が必要だ。

弱腰の自治体に代わって、厚労省が告発に踏み切った。当たり前の対応だが、市区町村に対して強い態度を示す舛添厚労相自治体の関係が、ぎくしゃくしているのは、なんともいただけない。

今は余計な非難の応酬をしている時ではない。国と地方は、協力して年金記録の回復に全力を注いでもらいたい。(読売・社説)