【ワシントン=黒瀬悦成】ベトナム戦争中の1971年2月、南ベトナム軍(当時)のヘリに同乗中、撃墜され死亡した、嶋元啓三郎さん(当時34歳)ら4人の戦場カメラマンを顕彰する式典が3日、今月開館するワシントン市内のニュース博物館「ニュージアム」で行われた。
嶋元さんと米通信社などのカメラマン3人は、ラオスから北ベトナムに食料や武器を運ぶ「ホーチミン・ルート」を取材するため、南ベトナム軍将校とともにヘリでラオスに向かい、北ベトナム軍の対空砲によって南部ラオス上空で撃墜された。墜落現場は、98年に米軍の捜索チームが発見。現地で回収された身元不明の少量の遺骨が、館内にある全世界の殉職記者を追悼する展示区画の床に、4人の名を刻んだ銀色の銘板とともに埋め込まれた。
都合で式典に出席できなかった、嶋元さんの長兄で読売新聞元編集委員の嶋元謙郎さん(80)は、「このような式典が行われ、彼は自らの理想に殉じた幸福な男だった、と思わずにはいられません」と話した。(2008年4月4日読売新聞)