原爆症の認定基準が今月から緩和されたことに伴い、厚生労働相の諮問機関「原子爆弾被爆者医療分科会」の下に新設された審査部会の初会合が7日開かれ、新基準により63人を認定するよう答申した。
厚労省によると、このうち16人は旧基準で認定を却下された集団訴訟の原告。原告弁護団では、新基準をもってしても原告全員の認定には至らず不十分だとして、認定された原告についても損害賠償部分の訴訟は継続する方針といい、依然、訴訟解決のめどは立っていない。
厚労省は同日、疾病ごとに設けた4部会のうち、第1部会(消化器系以外の悪性腫瘍(しゅよう)=がん)と第4部会(白内障と心筋梗塞(こうそく))に計69人の審査を諮問。このうち、がんの60人、白内障の3人が原爆症と認定された。この63人には今後、本人に通知され、申請時にさかのぼって医療特別手当(月額13万7430円)が給付される。この日は資料不足などにより6人が審査保留となったが、却下処分となった人はいなかった。
同省によると、旧基準では、被爆者健康手帳を持つ約25万人のうち2200人程度しか認定されず、昨年度の認定者数も128人に過ぎなかった。新基準では、年間1800人程度が認定される見込みで、原告約300人のうち半数以上が認定対象になる見通しだ。
部会終了後に記者会見した原告団は、新基準での認定について「一定の前進」としつつも「原告全員の認定を求め、基準のさらなる見直しを求めていく」と不満を表明。認定された原告について、処分取り消し訴訟を続ける意味はないものの、引き続き国に対して損害賠償は求めていくとした。また、9日に同省との定期協議で訴訟解決策について話し合う方針も示した。(読売)